不妊症のおはなし|漢方のはなし

23.黄体不全と不妊

不妊治療のために基礎体温を測ってみて、排卵してもすぐ体温が上昇せず、はっきりとした高温期になるまでは階段状に昇ったり、安定した高温期がなく体温がかなり上下したり、 高温期が短く十日前後しかなかったりする基礎体温パターンを持つ方は、黄体機能不全の可能性が大です。

黄体機能不全の方は、排卵後黄体形成が不十分、黄体ホルモン分泌不足、あるいは黄体の消退が早いので不妊や、特に早期流産の原因となる。即ち、主として黄体ホルモンや卵胞が不十分な ため子宮内膜が薄くて硬くてふかふかせず受精卵はなかなか着床できません。 もし一時着床しても十分に栄養を与えられずに流れてしまいます。

中国漢方の立場からみると、黄体不全は『腎陽虚』として捉え、温腎助陽の作用を持つ海馬(タツノオトシゴ)や鹿角(鹿の角)や紫河車(人の胎盤)など動物性生薬を主に、淫羊角(イカリソウ)・ 巴戟天(ハゲキテン)など植物性生薬補助的に使います。これらの腎陽虚を補う漢方薬によって、黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモンの働きをよくし、黄体から十分な黄体ホルモンや卵胞ホルモンを分泌で きるように促します。即ち受精卵に暖かくふかふかしたベッドを用意できるようにします。よく使われるのは海馬補腎丸・双料参茸丸などである。更に高温期に不調の訴えの多い方や、血中プロラクチンの高い方は、 気血の停滞(肝気鬱結)もあると見て、疏肝理気作用のある逍遙丸を加えると、更に効果的です。

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