低体温 | お身体の悩み

漢方医学

低体温(冷え)の体質改善は、漢方治療の得意分野といえます。漢方では、冷えを重要視し、さばざまな病気を冷えの改善によって治療していきます。
漢方では低体温を以下のように分けています。
1. 全身的な冷えによる新陳代謝の低下
低体温の原因を改善すると共に、身体全体を温める漢方薬を用います。
2.身体に余分な水がたまり、胃腸機能などが衰えて起きる低体温
胃腸や身体全体にたまった余分な水分を、体外に排出して身体を温める漢方薬を用います。
3.血行不良による低体温
身体の血流をよくして、ホルモンバランスを調え体温を上げる漢方薬を使います。
4.自律神経のバランスが悪く、イライラや精神不安、冷えのぼせなどを伴った低体温
ストレスや精神的緊張感を和らげ、自律神経のバランスを調えて体温調節を改善する漢方薬を用います。

※漢方を服用する場合は、自己判断せずに、漢方の専門知識のある医師、薬剤師に相談しましょう。

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漢方医学

西洋医学

最近、低体温で悩んでいる方が増えています。
現代人は昔に比べると身体を使ったり、運動する機会がかなり少なくなりました。その結果、基礎代謝の低下を招き、低体温を引き起こす原因になっています。また、ストレスが重なると自律神経のバランスが崩れて、身体の血流が悪くなり低体温を引き起こしてしまいます。
最近はペットボトルの水を持ち歩いたり、血液をサラサラにするためにたくさんの水を取っている方がいますが、こうした余分な水分(水毒)が、低体温の原因にもなっています。
通常、私たちの体温は、36.5度前後といわれています。低体温は、ハッキリした定義はありませんが、36度以下の方をいう場合が多いようです。
私たち日本人の体温は、この50年間で約1℃低下したといわれています。体温が一度下がると
1.免疫力が約30%~40%下がる。
2.基礎代謝(新陳代謝)が約10%下がる。
3.体内の酵素の働きが約50%低下する
などになり、ガン、アレルギー疾患、不妊症、下痢、めまいなどの病気を引き起こします。古来から、“冷え(低体温)は万病のもと”ともいわれています。また、基礎代謝が悪いので、ダイエットをしてもなかなか痩せることができません。
低体温は西洋医学では疾患としてとらえていません。なぜなら、西洋医学には冷えという考えがないのです。そのため、自律神経失調症や精神的な問題として処理されてしまうケースがほとんどです。

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西洋医学

日常生活

日常生活についてですが、生野菜や果物、冷たいビール、清涼飲料水、刺身などは身体を冷やすので、なるべくさけたほうが良いでしょう。
また、シャワーよりは湯船につかって入浴するほうが、身体が芯から温まり低体温の予防になります。
食事は、一日3食を基本として、しっかり食べるようにしてください。最近は、朝ごはんを抜く人も多いようですが、低体温を改善するには、しっかりと食べることを心がけてください。

※医師・薬剤師に、ご相談の上服用してください。

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日常生活

低体温の実例

無月経の低体温の症例

女性 24歳 低体温、無月経

長いこと低体温だったのですが、あまり気にしないでいたところ、21歳のときに生理が止まってしまいました。婦人科でホルモン治療を受けていましたが、自然に生理がくるのは年に一回~2回です。基礎体温を見せてもらったところ、上下の起伏が激しくギザギザしていて、低温期も高温期もわからない状態でした。 また、全体の7割くらいが35,5℃~36,0℃の間で推移しています。
痩せ型で疲れやすく、最高血圧も80くらいでかなりの冷え性です。
この方は、血流が悪く低体温で強い冷え症のため、ホルモンバランスが悪くなって、無月経になっていると考えられました。そこで、血行をよくして冷え性を改善し、ホルモンバランスを調える漢方薬を処方しました。
一ヵ月後には、オリモノが増え身体が温まってきたとのことです。基礎体温を見せていただくと、36℃以下は全体の2割くらいに減っていて、はっきりとではありませんが、二相に分かれているのが確認できました。
さらに、一ヶ月の服用で生理が来たとのことでした。その後も、同じ処方を続けて5ヵ月後には30日~32日くらいの周期で生理がくるようになっています。

ストレスの強い方の低体温の症例

女性 28歳  低体温、月経前緊張症(PMS)

痩せ型で顔色が青白い女性です。生理周期がばらばらで、普段は40~50日、ひどいときは120日くらいの時もあります。
かなりの冷え性で、基礎体温をつけたらバラバラで半分以上が36度以下の低体温とのことでした。イライラすることが多く、ストレスを受けるとすぐに精神が不安定になります。また、生理痛がひどく、生理前から強い腹痛があります。婦人科にも長いことかよっているのですが、一向に改善しません。
この方は、自律神経のバランスが悪いと考えられたので、自律神経を調え血行を促し低体温を改善する漢方薬を処方しました。
一か月後には基礎体温の形が調ってきたとのことでした。36度を下回ることも少ないとのことです。その後も同じ漢方薬を続けて服用し、5ヵ月後には低体温、生理周期、生理痛がほぼ改善しました。ただ、調子が良いとの事から、服用回数を減らしながらも漢方薬は継続しています。

虚弱タイプの低体温の症例

女性 35歳  低体温、不妊症

結婚して8年、妊娠を希望して6年になりますが、妊娠しないとのことで相談を受けました。

基礎体温を見せていただくと、高温期は36度を越えていますが、低温期は35度台で、低体温です。
痩せ型で胃腸が弱くすぐに下痢をし、虚弱体質です。生理周期は28日で定期的にありますが、生理前にイライラしやすく、貧血があります。
病院でホルモン治療は受けていましたが、人工授精や体外受精は受けたくないとのことでした。

この方には周期療法(生理周期によって漢方薬を飲み分ける不妊治療法)をすすめしました。
服用を始めて2ヵ月後には低体温が改善し、低温期も36度台を維持するようになりました。 身体が温まり、以前のように下痢をすることも少なくなってきました。疲れも感じなくなってきています。

その後も、同じ処方を服用し8ヵ月後には自然妊娠をすることができました。

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